Webデザイナーが企業への応募にあたり準備するポートフォリオ。最終回の今回は、採用担当者がポートフォリオを見て採否を判断するポイントや、実務未経験の人にお勧めの方法についてご紹介します。
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採用担当者は社長や実務責任者であることも多く、忙しい合間をぬって応募者からのポートフォリオに目を通します。そのためポートフォリオに掲載する作品は15点前後に抑えましょう。ページ数も20ページから30ページくらいが最適でしょう。
実際の現場ではデザインとコーディングが分業になっていることも多く、デザインだけしか担当しないWebデザイナーも多く存在します。あなたがデザインだけでなくコーディングもできるのであれば、ソースコードも作品として一緒に記載すると良いでしょう。ソースコードを掲載することで採用担当者の印象もアップします。たとえデザイン面でいまひとつであっても、コーダーとしてのポテンシャルに期待して面接に進む可能性もあるのです。
経験者やディレクター志望の人ならば、サイトの仕様書や提案書、ラフ、ワイヤーフレームなども掲載すると、これまでの仕事への取り組み方なども分かり、戦力として期待できるのか採用担当者も判断しやすくなります。
Webデザイナーとしての実務経験がない人だと、作品が少ないことがネックになってきます。そこで、未経験で作品がない人にぜひ取り組んでいただきたいのは、自分で企業のWebサイトを作ってみることです。
たとえば起業や開業を予定している家族や知人のために、ポートフォリオへの掲載を条件に無料または格安でWebサイトを作ってみるのが一つの方法です。クライアントのニーズを踏まえながら一通りの作業をこなした経験は、採用担当者にとって評価の対象になります。あるいは、Webサイトのない個人経営のお店に飛び込みで交渉して制作させてもらうのも、採用担当者に積極性がアピールできてより好印象を持たれるでしょう。
それが難しければ、架空のクライアントの制作案件が発生したと想定して、ダミーで企業のWebサイトを作ってみるのがお勧めです。企業のコーポレートサイトや通販のECサイトを参考に作り上げることで、サイト制作に関するスキルやコーディングの基礎ができていることはアピールできます。
作成したWebサイトのサイト構造やナビゲーション、ローディング時間にも気を配りましょう。動的表現のスキルをアピールしようとしてローディングに時間がかかるサイトなどは逆効果になる可能性もあります。
スマートフォンでの表示やアクセシビリティも考えて作成しましょう。
Webサイトへのアクセスは既にPCよりもモバイルの方が割合が多くなっています。採用担当者が面接時にスマートフォンやタブレットでサイトを確認することもあるでしょう。スマートフォン向けサイトも、大きく分けてレスポンシブデザインと専用サイトがあるのでどちらかに対応しておくと良いでしょう。
アクセシビリティに配慮して視聴覚障害者の為にALT属性にテキストを記載しておくなども良いでしょう。
上記のようにWebサイト制作には「知っていることでアピールできる知識」があります。例えばレスポンシブデザイン一つとっても、
というような要素があります。仮にレスポンシブデザインをポートフォリオ用に作成した場合は、それらを解説として記載しておけば、採用担当者に「お、ちゃんと知っているな」というような良い印象を与えることができます。
他にもWebサイトの種類(コーポレートサイト、ディザーサイト、ブランディングサイト、ランディングページ、ECサイト等)やコーディング規約(インデント、エンコード設定、小文字大文字の使用等)も知っておくと良いでしょう。
Webを取り巻く技術は多種多様です。
Webサイトを作成するための基本的な知識であるHTML、CSS、JavaScript、フレームワーク、データベース、CMS、WordPress・・・
Webサイト利便性を向上するアクセシビリティ、ユーザビリティ、レスポンシブデザイン、RSSフィード・・・
Webサイトの公開や運営に関する知識であるSEO、アクセス解析、ドメイン・・・
架空の企業サイトを作成するときは上記のような技術に対してどのように対応したのかをポートフォリオに必ず記載するようにしましょう。Webデザイナーにとって、知識は力であり自分がデザイナーとして生きていくための武器でもあります。たとえ未経験であっても、それらを自分の知識として身につけていることで、採用担当者に大きくアピールすることができるのです。
いかがでしたか。採用担当者に評価されるポートフォリオを作るのに大切なのは、見る相手の立場に配慮しながら、効果的に自分の強みをアピールすることです。Webデザイナーとしてのあなたという商品を魅力的に見せるポートフォリオ作りは、これまでのキャリアを見つめ直す良い機会になるので、ぜひ力を入れて取り組んでみてください。
ディレクターやクライアントとの…