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“らしさ”を生み出す熱量が、エンターテインメントの可能性を切り拓く。魔法株式会社様(神戸)

個性あふれるゲーム制作会社を訪問し、会社の裏側からゲームの裏側に至るまで、さまざまな話をおうかがいする『トリクリ塾 ゲーム会社訪問編』。第5回は、エンターテインメント分野で多彩なコンテンツ開発を手がける魔法株式会社様を訪問しました。

魔法株式会社のアミューズメント事業部 事業本部・本部長の荒木さん(写真左)とプラスミライ事業部・部長のさんにお話をうかがいました。

エンターテインメントの進化とともに発展。創業から35期目を迎える老舗企業

―まずは、魔法株式会社の事業紹介をお願いします

星さん:遊技機やゲーミング(カジノ)、スマホゲーム、アミューズメントゲームなどエンターテインメント分野のコンテンツ開発を手がける会社です。デベロッパーとしての製品開発をメインとしていますが、一部では自社コンテンツの開発・販売なども行っています。
拠点を神戸(本社)、東京、名古屋の3カ所に置き、多拠点展開のメリットを活かした幅広いクライアントとのパートナーシップで、多彩な開発に取り組んでいます。

―お2人のお仕事について教えてください

荒木さん:私は遊技機の開発を行う「アミューズメント事業部」の本部長として、収益向上に向けた新しい取り組みや新規顧客の開拓、既存顧客との関係性を深める仕事などを手がけています。

星さん:私は設立3年目の「プラスミライ事業部」で、部署全体のマネジメントのほか、営業や企画などを行っています。役職は部長ですが、歴史の長いアミューズメント事業部とは対象的で、スタッフが足りないときにはデバッグをやることもありますね(笑)

成長のカギを握る、主力事業の遊技機と新規事業のゲーミング

―アミューズメント事業部について、詳しくお聞かせください

荒木さん:アミューズメント事業部は、遊技機(パチンコ・パチスロ)の液晶ソフトウェア開発を手がける部署です。当社が遊技機の液晶開発事業を開始したのは、2003年。技術やノウハウはもちろん、数々の実績を通して得た高い経験値が強みです。お客様からは自由度の高い開発を任せていただいており、企画からデバッグまでをワンストップで手がけています。

―部署のミッションは何でしょうか?

荒木さん:主力事業としてしっかりと収益を上げること。そして、新規事業など未来へ投資するための源泉を獲得することもミッションとして担っています。
業界の変化に、自分たちがどのように対応していくべきか。そのことを常に意識し、同じことを続けるだけではなく、新しい試みにも積極的に取り組むようにしています。ここ最近では、役物(ギミック)の業者さんと組んで、これまでやっていなかった新しい領域でのチャレンジを始めました。

―続いて、プラスミライ事業部についてお聞かせください

星さん:プラスミライ事業部では、ゲーミングマシンやアプリ、アミューズメントゲームなどを手がけています。海外向けのランドゲーミングを中心に、オンラインゲーミングなど時代の流れに合わせた開発を行っていますが、将来的にはそれらの経験を活かして、日本市場向けに特色のあるゲーミング機器を開発したいと思っています。

―日本での展開は、どの程度進んでいるのでしょうか?

星さん:日本のゲーミング市場は、まだエンターテインメント機器としての方向性などが決まっておらず、メーカーも含めて具体的な動きは少し先になると思います。
海外のゲーミング市場では、アジア(中華)系もしくは欧米系の機種が主流です。ところが日本市場では、ローカライズされた機種が登場する可能性があります。また日本向けの機種に慣れているパチンコ・パチスロの愛好家もターゲットとして考えられるため、遊技機に近い要素がでてくることも考えられるでしょう。そうなると、魔法が遊技機とゲーミングの両方を手がけていることは、間違いなく大きな強みになります。どのような形になったとしても対応できるよう、十分に準備をしたいですね。
今、私たちがもっとも注力しているのは、ノウハウの蓄積です。方向性が決まるまでの間にノウハウを吸収し、それを活かしていくことができれば、日本市場においての競合優位性になると考えています。

無難な選択はしたくない。開発への熱量が形づくる、“魔法らしさ”

ー開発中の案件でトピックスがあれば、教えていただけますでしょうか?

星さん:まだ具体的なお話はできませんが、自社コンテンツを手がけることになりました。他と比べて保守的な業界向けのコンテンツですが、「無難なものを作っても面白くない」と考え、これまであまりみたことのないゲーム性を備えた作品を企画したんです。

ーその企画は、社内で反対されなかったのでしょうか?

星さん:正直なところ、社長の反応はあまりよくありませんでしたね。でも、どうしてもあきらめられず、「絶対にやりたい」といい続けました。そして何度も企画をブラッシュアップし、何週間もプレゼンを重ねました。せっかく自分たちで作るわけですから、無難な選択はしたくなかったんです。チャレンジングな企画のため社長もかなり悩んでいましたが、最後は「絶対、ヒットさせてや」という言葉とともにGOサインをいただきました(笑)

荒木さん:「ここはどうしても」と訴えたときは、その想いを汲み取ってくれる社長です。作り手が作りたいと思えるモノのほうが、ヒットさせてやろうという気持ちも熱量も大きくなるだろうと、私たちを信じてくれているのだと思います。

星さん:詳細をお話できないのが残念ですが、来年にはリリースされるので絶対にヒットさせたいですね。そしてこの経験は、受託開発にも必ず活かしたいと思っています。

ー遊技機の実績については、いかがでしょうか?

荒木さん:直近(2018年発売)の機種では、アニメ版権のパチンコ2作品と、漫画版権のパチンコを1作品開発しました。大人気アニメから往年の名作まで携わっていますが、決められたものを作るというよりも、こちらから提案して開発を進め、「もっとこうしたほうが、良くなる」という想いや感性を作品の中に活かしています。

「好き」がスキルを凌駕する。制度や固定概念に縛られない、“ゆるい”社風

―社風やメンバーの方々について教えてください

荒木さん:私もそうですが、魔法には異業種出身のメンバーが多くいます。特に多いのは映像関係ですが、音楽関係、飲食関係などさまざま。もともと自分たちがそうだったので、「この経験がないと、通用しない」などといった考えがなく、新しく入社した人を自然と受け入れる土壌がありますね。ちなみに私は、パチンコが好きで入社しました。アミューズメント事業部には、アニメ好きやゲーム好きの人も多いですよ。

星さん:異業種出身ということがハンデになることはありません。実際に仕事をしてみると、スキルよりも熱量でカバーできることがたくさんあることに気づくと思います。

―人材育成はどのようにされていますか?

星さん:入社後は、OJTで学んでもらうようにしています。基本的にはサポートする先輩がいますが、特に制度があるわけではないので、周りの人が自主的に行っている形ですね。制度化して先輩役を強制すると、やりたくないという人が続出するので(笑)。

荒木さん:「自分がやらないと」と思って先輩が自主的にサポートするのも、魔法の文化といえるかもしれません。良い意味でも悪い意味でも“ゆるい”会社ですが、モノづくりにおいては情熱的な人が多いと思います。

―どんな方が向いていると思いますか?

荒木さん:仕事を任せてもらえて、抜擢されやすい会社でもあるため、バイタリティや向上心のある方が向いています。将来的に目指す場所が魔法ではなかったとしても、ここで得られるものは多いと思いますよ。

星さん:新しいことにチャレンジしたい人ですね。今はまだ存在しない、新しい物事を生み出すために情熱を注げる。そんな方と一緒に、作品や事業を作っていきたいと思っています。

荒木さん:選考では過去の作品や企画書を見せていただくことが多いですが、作品自体を評価するというよりも、そこに垣間見える工夫や熱量に目を向けるよう心がけています。面接も同じで、スキルや経験以上にモノづくりへの想いを重視していますね。遊技機の場合であれば「とにかくパチンコ、パチスロを手がけたい」という情熱です。
せっかく興味をもって会いに来てくれているので、その方の良い部分を引き出すために、雑談のような雰囲気でいろいろなお話をするようにしています。

星さん:希望があれば、他拠点への転勤も可能です。将来的に地元に帰ることを考えている方やほかの地域で仕事がしたい方にとっては、メリットではないでしょうか。また海外とのやりとりがあるため、英語や中国語のスキルを活かしたい人も歓迎していますよ。

核となる2つの事業で、エンターテインメントの発展に貢献する

―今後の目標についてお聞かせください

荒木さん:遊技機の事業規模を拡大し、業界での地位を高めていくことがアミューズメント事業部の目標です。そのためにはお客様からより信頼され、任せていただける存在になれるよう、さらなる実績を積み上げていくことが必要だと考えています。
また遊技機に限らず、新しい技術を活用した開発も手がけていきたいですね。当事業部の取り組みやチャレンジによって、魔法の成長を加速させたいと思っています。

星さん:現状ではゲーミング市場における日本の存在感は薄く、私たちの手でそのシェア拡大に貢献していきたいと思っています。
プラスミライ事業部は、エンターテインメントの可能性を広げるような新たな事業を生み出すために創設した部署。ゲーミングだけではなく、可能性のある事業の種を見つけてチャレンジすることで、日本のエンターテインメント業界に貢献したいですね。

取材後記

今回の取材は、神戸本社で行いました。魔法さんの自社ビル「マジカルビル」は、蔦に覆われたレンガ造りの建物。社名を体現したような外観に、思わず見とれてしまいました。
創業から35年の歴史をもつ同社は、業界では名の知れた老舗企業。今回インタビューをさせていただいた遊技機とゲーミング以外では、ゲーム会社として自社IPも保有されています。ユニークな社名には「ユーザーに感動という魔法をかけたい」という、想いが込められているそうです。
取材中、お2人がよくおっしゃっていたのは、「面白いものを作りたい」「エンターテインメントで日本を元気にしたい」という言葉。技術と実績もさることながら、こうした作り手の熱量が、メーカー各社から信頼されるモノづくりを支えているのかもしれません。


日本でも近い将来、IR(統合型リゾート)が誕生します。エンターテインメント業界の動向にはますます目が離せなくなりそうですが、同社がかける新たな魔法にも期待が膨らみますね。魔法株式会社のみなさま、ありがとうございました! 

取材・文:samusillee

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